繊細さんのWEBデザイナーでもできる、クライアントに“そっと寄り添う”提案力の磨き方。

繊細さんのWEBデザイナーでもできる、クライアントに“そっと寄り添う”提案力の磨き方のサムネイル画像 HSPエピソード

どうして私は、いつも“言われたことをやるだけ”なんだろう?

「こちらの素材で、明るい感じでお願いします。あと、見出しはこの文言で統一してください」

案件のやり取りで、そんな指示が送られてくると、私は素直に「かしこまりました」と返信していた。

“自分なりの工夫”は、一応やっているつもりだった。

トンマナを整えたり、フォントを変えてみたり、余白を少し広げたり。

でもそれは、あくまで“言われた中でやれる範囲”での工夫。

ふと気がつくと、毎回の仕事が「ただのパズルの組み立て」になっていた。

もちろん、依頼に応えるのは大事なこと。

でも心のどこかで、こんな声が聞こえていた。

「これって、私じゃなくてもいいんじゃない?」

「クライアントの意図とか目的とか、そういうことまで考えて動けたら、もっと喜んでもらえるのに」

そう思う自分と、

「でも、それを口に出したら、変に思われるかも」

「プロっぽくないと思われたらどうしよう」

と、怖がって何も言えない自分。

いつからだろう。
本当はもっと「一緒に良いものを作りたい」と思ってるのに、
「ただの指示待ちのデザイナー」で居続けてしまっている自分に、
心がじわじわと、すり減っていっているのを感じていた。

そんな時だった。
ある打ち合わせで、クライアントにこう言われたのは。

「この構成はDRMに基づいてるので、意図わかってくれると助かります」

……DRM?

その一言で、頭の中が真っ白になった。

わかったふりもできなくて、情けない気持ちでいっぱいだった。

その瞬間、私の中で何かが静かに崩れていった。

私に足りなかったのは、“デザイン”じゃなかった

打ち合わせが終わったあと。

PCの前に座ったまま、しばらく動けなかった。

「DRMって何……?」

「なんで誰も知らない言葉を、当然のように言われても……」

思わず、そんな子どもみたいな言葉が心に浮かんだ。

私はこれまで、ずっと「見た目の良さ」にこだわってきた。

PhotoshopもIllustratorも、ある程度は使える。

配色やレイアウトも、時間をかけて学んだ。

それでも、何かが足りない。

どこか、根本的な部分が「空っぽ」な気がしていた。

だから、クライアントからの質問に答えられない。
だから、提案ができない。
だから、自信が持てない。

「私に足りなかったのは、デザインじゃなかったんだ」

そう気づいたとき、胸の奥がズキッと痛んだ。

その日の夜は、SNSも見たくなかった。

だって、みんなすごいから。

「提案が通った!嬉しい!」

「また指名でお仕事いただけた!」

そんな言葉が並ぶタイムラインを見るたびに、

「なんで私は…」と、自分を責める気持ちが大きくなっていった。

それでも、ふとした瞬間に見かけた言葉が、私の気持ちを少しだけ引き止めてくれた。

「売らずに売る仕組みがある。それが“マーケティング”です」

その投稿を読んだとき、「えっ」と思った。

私、売るのってすごく苦手。

でも、売らずに売れる方法があるなら……それ、知りたいかもしれない。

心の奥に、静かに光が灯った瞬間だった。

マーケティングの言葉が、“線”でつながった日

DRM、プロダクトローンチ、オプトイン、セールスファネル…。

まるで異国の言葉のようだった。

Googleで調べても、難しい説明ばかりで余計に混乱する。

YouTubeを見ても、話してる人の言葉が早すぎて、頭に入ってこない。

「やっぱり、私には無理かも」

そう思った日もあったけれど。

それでも、私は少しずつ、一歩ずつ、進んでいった。

1日1個、言葉を調べる。

意味をノートにまとめる。

使われている場面の事例を探す。

まるで、小学生に戻ったみたいだった。

でも不思議と、苦じゃなかった。

なぜなら、その言葉たちが「誰かのための仕組み」だとわかってきたから。

マーケティングは、テクニックじゃない。

お客様の行動を理解して、優しく背中を押すための流れだった。

「セールスファネル=階段のように、少しずつ信頼を深めるステップ」

「オプトイン=“知りたい”と思った人が、自分の意志で一歩近づく場所」

「ステップメール=短い物語を少しずつ届けるように、考え方を伝える手紙」

知識がバラバラだった頃には、ただの記号に見えていた言葉たち。

でも、点と点が“線”でつながったとき。

それは、まるで星座のように、一つの世界を描き始めた。

「このページの意図は、お客様の“興味”を引き出すため」

「この見出しの順番は、“信頼の流れ”を壊さないように設計されてる」

今まで、ただの“デザイン指示”だと思っていた言葉の裏に、ちゃんと理由があった。

ああ、そうか。

私がずっと知りたかったのは、こういうことだったんだ。

“質問”が、私の最初の提案だった

「この見出しなんですけど、
もしかしたら順番を変えると、もっと読みやすくなるかもしれません」

そう言えたのは、ある小さな案件の打ち合わせだった。

クライアントは個人で活動しているコンサルタントの方で、
これまで何度か依頼をくれていたけれど、私はいつも「言われた通り」に作っていた。

でも、その日は違った。

今までのように「はい、わかりました」とだけ返すのではなく、
「こうしたらどうかな」と、そっと問いかけるように、言葉を乗せた。

緊張で手が汗ばんでいた。

心臓の音がイヤホン越しにも聞こえてきそうなくらい、ドキドキしていた。

でも、その返事は思いがけず、やわらかかった。

「あ、それいいですね。たしかに、こっちの流れの方が自然かも。ありがとう」

……ありがとう。

たった一言だったけど、胸の奥にじんわりと温かさが広がった。

“提案”って、こういうことだったんだ。

“私が思ったこと”を、相手に「問いかける」だけでよかったんだ。

正解を言わなきゃいけないわけじゃない。
すごいアイデアを出す必要もない。

ただ、クライアントの想いを一緒に考える姿勢があれば、それでいい。

「こうした方が、もっと伝わる気がするんです」

そんな気持ちを、素直に届けてみる。

それが、私にできる最初の“提案”だった。

この日から、少しずつ、自分の中の「怖さ」がやわらいでいった。

「提案=勇気ある一言」

そう定義できたとき、私はやっと、“指示待ち”から一歩抜け出せた気がした。

私は、誰かのビジネスに“そっと寄り添えるデザイナー”になれた

「このページ、あなたにお願いしたいんです。前回の提案、とても助かったので」

そう言われたとき、
私は一瞬、言葉が出なかった。

まさか、自分が「提案力のあるデザイナー」として選ばれる日がくるなんて。
あの頃の私には、想像もできなかった。

でも今は、少しずつ実感している。

マーケティングの知識を少し身につけただけで、
クライアントの言葉が「こわい」ものじゃなくなった。

意味がわからなかった用語も、
“その言葉の奥にある気持ち”を想像できるようになった。

DRMは、「届けたい人に、届くように考えること」
ファネルは、「信頼を少しずつ積み上げる流れ」
ステップメールは、「静かに、そっと背中を押す手紙」

デザインの前に、“人の気持ち”がある。

それが分かったから、私はデザイナーとしてもう一度歩き出せた。

私は、誰かを説得したいわけじゃない。

「売れるデザイン」を作りたいわけでもない。

ただ、誰かの“やりたいこと”や“届けたい思い”が、
きちんと形になって、ちゃんと伝わっていく。

そんな「橋渡し」ができる存在でありたい。

売り込まなくても、自然と伝わるように。

無理にアピールしなくても、「この人にお願いしたい」と思ってもらえるように。

それが、私にとっての「マーケティング」だった。

そして、「提案できるデザイナー」への道だった。

あの頃の私に、そっと伝えてあげたい。

「自信は、“仕組み”を知るだけで取り戻せる」

そして、あなたが持っている“繊細さ”も、
本当は「誰かに寄り添える優しさ」なんだよって。

私は今、その優しさを、自分の仕事に使えるようになっている。

少しずつ、でも確実に。


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